薬剤部

病気と向き合う人のそばで、ともに歩みます

調剤・監査だけをしていれば良い薬剤師の時代は過ぎ去りました。これからの薬剤師には患者さんの検査データや実際の状態から体の中で何が起こっているのかを読み取り、必要な薬、不必要な薬を医師とともに考える役割が求められます。

薬剤部では求められる役割を果たせるようチーム医療に参加し、治療に関わっています。大きな取り組みとして、高齢者で問題になっている多剤内服(ポリファーマシー)に対する対策を薬剤師を中心に行っています。これからの慢性期医療を支え、いつも患者さんのそばで良きパートナーとなれるよう、共に歩んでまいります。

多剤内服(ポリファーマシー)への対策

患者さんのお薬は医師が症状に合わせて処方を行ったものですが、どんなお薬にも副作用があります。複数の疾患に対して薬剤処方を重ねているうちに薬の種類が多くなってしまい、副作用や飲み合わせの悪さにより患者さんの体に負担がかかってしまっていることや、症状が無くなっているにもかかわらずお薬の服用を続けてしまっていることがあります。当グループでは入院患者さんの多剤内服状態を改善するために「6種類以上の内服」を多剤内服(ポリファーマシー)と定義し、積極的な活動を行っています。また、毎月、病院の多剤内服の状況について評価をしており、この取り組みを通して、モデル病院においては取り組み前後で内服薬平均8.1剤から4.1剤へ減少しています。

この多剤内服(ポリファーマシー)を改善するためには、薬剤部だけでなく、医師・看護師・事務長など、他職種との連携が欠かせません。病院をあげて患者さんのお薬を正しい量にするために考えています。

薬剤師から医師へ見直しの提案

回診時および病棟薬剤業務時にも見直しを行い医師へ提案しています。入院時には持参薬確認リストを作成し、治療に合わせてお薬の見直しを提案しています。提案をする際には、減薬のみならず服薬回数を少なくするなど服薬コンプライアンス※向上につながるように工夫しています。お薬を減らすためには、患者さんやご家族へのご理解も重要になります。そのため薬剤師より直接患者さん・ご家族へ多剤内服(ポリファーマシー)の改善に向けた説明を実施し、ご理解いただけるようにしています。向上につながるように工夫しています。お薬を減らすためには、患者さんやご家族へのご理解も重要になります。そのため薬剤師より直接患者さん・ご家族へ多剤内服(ポリファーマシー)の改善に向けた説明を実施し、ご理解いただけるようにしています。

※服薬コンプライアンスとは、患者さんがお薬を飲み忘れや飲み間違えなくしっかりと指示を守って服用することです。

病棟薬剤師の導入

グループ薬剤部では薬剤師としてチーム医療に参加することを目標にしており、回診などへの参加も積極的に行っています。
患者さんのお話を薬剤師が直接聞き、お薬で困っていることがないか、飲みにくさがないかなどを参考に、処方の適正化を図ることができます。ほかにも、医師や看護師など他職種から、お薬について困った時に薬剤師へ気軽に相談できることで、薬剤師からお薬の提案をする機会も増えます。薬局にいるだけではわからないことやできないことが、多く解消されると私たちは考えています。

将来的にはすべての病院で病棟業務が実施できるように、スタッフの増員と環境の整備を推進しています。また調剤業務・病棟業務などを約1年間で習得することができる新人教育マニュアルを新たに作成し、運用開始予定です。

患者さんが飲みやすいお薬の工夫

患者さんがわかりやすく安全にお薬を服用できるよう、ほとんどの患者さんへ自動錠剤包装機を用いた一包化調剤を行っています。その際、一つひとつのお薬の包装には、バーコードを印字にて誤薬防止の対策を取り入れています。
また、飲みやすいお薬の工夫として、飲み込みが難しい方でも服用しやすい口腔内崩壊錠を積極的に採用しています。ほかにも経管栄養の患者さんには簡易懸濁法を導入するなど、患者さんに合わせたお薬を用意して、無理なく服用してもらえるようさまざまな工夫をしています。