入院 Hospitalization

当院の栄養部では「みんなにうれしい食事」、「一人ひとりに合わせた献立の工夫」、「患者さん・利用者さんの声を大切にした栄養管理」に力を注いでいます。世田谷記念病院では、直営の給食センターに調理師14名、パート調理補助8名が所属しています。日常から管理栄養士と調理師が密に連携し、一丸となって患者様に満足いただける食事を提供しています。

これまで食べていた食事形態や好みをご本人やご家族に確認しながら、適切な食事内容を提供しています。疾病により食事療養が必要な患者さんには特別食で治療を支援し、食べやすく、目でも楽しめるようなおいしいソフト食を導入しています。また、入院期間中に少しでも楽しく食べていただけるよう、年間12回の行事食を提供しています。経腸栄養の患者さんには、さまざまな食品から栄養を摂取するために、新鮮な肉や魚、野菜を使った手作りの経腸栄養剤を提供しています。

栄養部の取り組み

1. 献立作成

季節に合わせた行事食を定期的に献立に取り入れることで、病院や施設にいても季節をしっかりと感じられるよう努力しています。47都道府県の郷土料理と5カ国の国際料理を毎週献立に取り入れて、知的好奇心を刺激し、食事への興味をより一層引き立てる献立を提案しています。

2. 調理コンクールの開催

年に一度、栄養部スタッフが献立作成能力と調理技術を競い合う献立・調理コンクールを開催しています。管理栄養士(栄養士)と調理師が協力し合い、おいしいメニューを提案しています。全病院・施設が献立を作成し、予選を通過した10施設がキッチンスタジオで料理の味や独創力などを競い合います。

3. 手作りの栄養補助食

十分な食事摂取ができない方のための栄養補助食品のレシピ作成を行い、全施設で手作りの栄養補助食品を提供できるようにしています。経口流動食や高カロリーゼリー・プリンをはじめとして多数の栄養補助食のメニューを作成。また、BCAAの補給を目的とした「メイプロテインパウダー」や中鎖脂肪酸を補給できる「MCTパウダー」、腸内環境改善のための「サンファイバー」なども採用しています。これらをリスト化して施設内に周知することで医師や看護師の意識を高め、適正な栄養提供ができるよう努力しています。

4. 安全な食事形態とバラエティ豊富な嚥下(えんげ)訓練食

日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整分類に即した安全な食事形態を標準化しています。
経口摂取開始から段階的に食事形態をアップし、安全に経口摂取へ移行しています。嚥下訓練食はゼリーやプリンだけでなく、バラエティー豊富なメニューを採用しています。

口から食べられる可能性を最後まで考えます。

病気や老化、長期間の絶食などにより飲み込む力が低下して、口から食べることができなくなることがあります。適切なリハビリテーションにより、再び口から食べられるようになる患者さんは少なくありません。

こんな取り組みを行っています
  • 入院時にST(言語聴覚士)が嚥下評価を実施。
  • 嚥下状態に最適な食事を提供。
  • プログラムに沿った摂食・嚥下リハビリを提供。
  • 口や喉だけでなく、全身の体力改善が必要になることもあるので、理学療法士や作業療法士など他職種でサポート。
  • 退院時の患者状態や家庭環境に応じて、ご家族への栄養指導や調理指導を実施。
  • ご自宅での練習支援。

5. 個別栄養管理・NST(栄養サポートチーム)

病棟常駐の管理栄養士が、患者さん一人ひとりの必要栄養量や病態、好みなども考慮し最適な栄養管理を実施します。入院時の栄養食事指導はもちろん、退院後を見据えたサポートも行っています。
病棟の困難事例ではNSTチームで話し合い、より質の高い栄養改善を行っております。退院後もご自宅での栄養管理を指導する訪問栄養指導も行っております。

食事摂取量低下の原因を必ず突き止める
原因がわかれば正しく対処できる

食欲や食事摂取量が低下している時、そこには必ず患者さんごとの原因があります。治療を考えるうえでの第一歩はその原因を突き止めることです。問診内容や身体所見から疑わしい部分の検討をつけ、必要に応じて専門的な検査を追加することで、原因を突き止めます。

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