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地域との関わり

【レポート】ツナグワラジオ×世田谷記念病院 ACPイベント

~「人生会議(ACP)」を通じて、地域・患者さん・職員がつながる1日~

2025年11月30日(いい看取りの日)、世田谷記念病院に併設された「2Co HOUSE」にて、世田谷区にあるコミュニティ放送局エフエム世田谷の『ツナグワラジオ』とのコラボレーションイベントを開催いたしました 。

本イベントは「ACP(アドバンス・ケア・プランニング:人生会議)」をテーマに、前半は医療・介護従事者向けの専門的な学びの場、後半は地域住民や患者さんも交えた公開収録という二部構成で行われました 。


【第1部】専門職向け講演・パネルディスカッション

「知っているようで知らない」家族や患者さんの価値観に向き合う

第1部は、院内職員および地域の連携医療機関・介護施設の方々を対象とした学びの場として開催されました。 高崎健康福祉大学の倉林しのぶ教授、株式会社アライブメディケアの安田雄太社長による講演に続き、当院の看護部長や平成医療福祉グループ副代表も参加してパネルディスカッションが行われました。

議論の中では、看護部長の中村が「自身の家族と価値観についてカードを使って話し合った経験」を共有。また、参加した病棟職員やパネリストからは、ACPの難しさと新たな気づきについて、以下のようなリアルな声が挙がりました。

  • 「母親は遠方で離れて暮らしているが、いまだにこどもの頃好きだったお菓子を送ってくる。親しい親子関係であっても、お互いの現在の好みや価値観については『知っているようで知らない』状態であることに気づかされた」
  • 「施設で働いている時は『これから元気になっていこう』というタイミングでACP的な内容は聞きづらく、病院で聞いてほしいなと思っていた。しかし、いざ病院で働き始めるとまた別の難しさがあり、別のアプローチを考える必要性を感じている」

職種や立場の違いを超え、それぞれの視点から「ケアのあり方」や「コミュニケーション」を見つめ直す、密度の濃い時間となりました。

【第2部】毒蝮三太夫さん講演会・ツナグワラジオ公開収録

「待っていても友達は増えない」毒蝮さんが贈る、“自ら一歩踏み出す”行動へのエール

第2部は、地域住民の方々や入院患者様も参加可能な公開イベントとして行われ、スペシャルゲストの毒蝮三太夫さんが登場しました。

ラジオの公開収録コーナー「マムちゃんの心の相談」では、80代の患者様からの切実な相談が取り上げられました。 「愛知から引っ越してきたが、骨折して入院し、退院しても友人もおらず楽しみがない」というお悩みに対し、毒蝮さんは高齢者が陥りやすい「3K(金・健康・孤独)」に触れつつ、次のように回答されました。

「じっとしてちゃ友達はできない。自分から進んで動く力を持たないとだめ」、「関東は行政がしっかりしている。地域包括支援センターなど各地域、各事業所でいろんな相談窓口があるのだから、堂々と行政に相談してコミュニティを紹介してもらうのが良い。待ってたって絶対に友達は増えない」厳しくも温かい、「自ら一歩踏み出すこと」への具体的なアドバイスに、会場からは納得の頷きが広がりました。

おわりに

会場となった「2Co HOUSE」は、単なる人々の交流スペースではなく、病院の職員が専門性を高め、広い視野を獲得するための拠点でもあります。 世田谷記念病院では、今後もこうした機会を通じて、地域の「健康の質」向上に貢献するとともに、職員一人ひとりが多角的な視点でケアを実践できるような環境づくりに取り組んでまいります。