【第12回院内研究発表会】を開催しました
<発表会概要>
主催 学術・教育研修委員会
日時 令和5年1月29日(月)
場所 世田谷記念病院(食堂・2階リハビリテーション室)
登壇者 看護師、介護士、理学療法士、管理栄養士、放射線技師等院内スタッフ
※世田谷記念病院では、よりよいサービスを患者さんに提供するため、データの集積・研究・発信を目的に、年1回、全職種を対象とした研究発表会を開催しております。
先日、1月29日(月)に開催された「第12回院内研究発表会」では、当院各職種スタッフが2会場に別れ集い、日々現場で勤務する看護師や介護、リハスタッフの10名が1年間準備してきたそれぞれの研究内容を共有しました。 研究発表は、コンペティション形式で行い、聴講スタッフからの投票で最終的に2名の優秀賞を選出いたしました。院内での研究発表の機会を経て、優秀賞の2名は次年度*「平成医療福祉グループ学会」での発表へ向けて準備を進めてまいります。
優秀演題
① 塚本 泰成(回復期リハビリテーション所属 理学療法士)
「メゾヌーブ骨折術後の完全免荷の症例における離島での支援の一経験」
当グループの“離島支援事業”で利島へ派遣された際に担当した患者さんを症例とした研究。教員をしていた40代男性が部活中に足を滑らせて転倒。右メゾヌーブ骨折と診断を受け、術後24日目より理学療法を開始しました。男性は教員として任期を満了後、別の赴任地への転勤が決まっており、転勤後のリハビリの介入はできないことが懸念されたため、術側下肢の廃用症候群を予防するための筋力トレーニングや、術創部の柔軟性向上を目的としたセルフケアの伝達を行い、さらに島内での移動においては電動カートの貸し出しをしました。
その後の赴任地であり転居先となった島には別の理学療法士が在籍していたため、双方で連携をとりながら、適切なリハビリ介入を行っていきました。海に囲まれた僻地医療の一貫として、「理学療法士」が離島に常駐することでの介在価値を発揮することができた貴重な経験、時間となりました。
② 山本 敏光(地域包括ケア病棟所属 理学療法士)
「当院の地域包括ケア病棟と回復期リハ病棟を比較した転倒要因分析」
当院の地域包括ケア病棟において過去2年間の間に発生した539例の事故・インシデントを分析し、回復期リハビリテーション病棟と比較することで、より安全な医療体制の構築を目指した研究。過去2年間で最も多かった事故・インシデントは「転倒」。尚、当院の地域包括ケア病棟では「在宅復帰支援」と「短期集中リハビリ」の2点をより重視しているため役割としては「回復期リハビリテーション病棟」のそれと近い。
「地域包括ケア病棟」と「回復期リハビリテーション病棟」のそれぞれの事故・インシデントを比較すると、前者では「立ち上がりや歩き出し時の膝折れ」、後者では「歩行中のふらつき」による転倒が特に多いことが判明。上記はそれぞれ疾患の影響によるものが多いので、リハビリの介入時間に制限がある「地域包括ケア病棟」の患者の余暇時間を有効に使うことで、これらの事故・インシデントを防ぐことができるのではないかと考察した。
昨年の様子はこちら「第11回院内研究発表会」