当院の取り組み What we do

強力なチーム医療

当院に入院されるご高齢の患者さんは複数の疾患や障害を併せ持った多疾患併存状態(マルチモビディティ)であることが多く、一つの疾患を治療するだけでは状況が改善しないため、さまざまな問題に対して同時にアプローチしなければ家に帰れる状態まで改善しません。そうなると医師1人の力で達成することは不可能でありチーム医療が重要なのです。

「チーム医療の質が病院の質を決める」と考えて、チーム医療の質を向上させるためのさまざまな取り組みを実施しています。

情報共有の徹底

多職種で合同評価を行い、環境を設定

当院では、患者さんの入院初日に、医師をはじめ、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士、薬剤師、管理栄養士などの多職種が参加して、合同評価を実施しています。この合同評価は、以下の2点の設定を目的としています。

安全に過ごせる環境を設定する

まず、専門のリハビリスタッフがさまざまな評価を行い、患者さんが安全に過ごせるよう環境を設定します。

理学療法士
ベッド上の起居動作や歩行などの身体機能と能力
作業療法士
日常生活動作能力と認知機能
言語聴覚士
嚥下機能とコミュニケーション能力

これらの評価結果に基づいて、居室環境(各種センサーやベッド周囲の福祉用具の設置)や介助量・食形態などを検討し、
患者さんが安全に入院生活を送れるように、個々の状態に合わせた取り決めを行います。

およその入院期間と目標を設定する

リハビリスタッフによる評価、社会福祉士が聴取した病前の状況や、ご本人とご家族の希望、医師の診断をもとに、大まかな入院期間と目標を決定します。決定した内容は医師から患者さんご本人とご家族に説明いたします。入院生活に関わるすべての人が初日から共通認識を持ち、治療をスタートをすることができます。

定期的なカンファレンスの実施

合同評価の後は、他職種が参加して、2〜4週間に一度、定期的なカンファレンスを実施しています。カンファレンスの主な目的は経過確認ですが、目標設定の変更や、治療やリハビリテーション内容の変更・調整も行います。このほか、全職種で検討すべき事項があれば、臨時カンファレンスを開いています。

入院後期には退院後のご自宅での生活を視野に入れて、日常生活訓練や家屋調査・外泊訓練も行います。
必要に応じてご家族に介助指導を行ったり、退院後に必要なサービスの調整を行ったりしながら、退院日を決定していきます。

  1. 入院初期(入院〜14日程度)

    • 入院時合同評価
    • 初回カンファレンス
    • リハビリ目標や期間の設定
  2. 入院中期(経過に応じて)

    • 経過カンファレンス(各月)
    • 目標や入院期間の見直し
    • 家屋評価・改修
  3. 入院後期(退院30日前〜)

    • 退院前カンファレンス
    • 目標や入院期間の見直し
    • 外出・外泊訓練
    • 介護サービスの担当者会議
    • 紹介先への情報提供
  4. フォローアップ期(退院後)

    • 外来
    • 訪問リハビリ
    • 通所リハビリ
    • 屋外歩行
    • 自転車練習
    • 公共交通機関
    • 自動車運転
    • 復職支援など

特定看護師 育成の推進

特定看護師とは、正式には「特定行為に係る看護師の研修制度」を修了した看護師を指します。この研修を修了した看護師は、医療行為の必要な患者さんに対して、「手順書」に従うという条件のもと、医師の判断を待たずとも診療の補助(=特定行為 )が行えるようになります。高齢化が進み、医療資源にも限界があるなか、望ましい看護ケアを適切なタイミングで行える存在として、今後さらに活躍が見込まれます。

当院では長期間の研修および実習を修了し、専門的知識や技術を習得した特定看護師が現在3名、さらに研修中の看護師が2名在籍しています。

  • 気管カニューレ交換、壊死組織の除去、陰圧閉鎖療法、中心静脈カテーテル関連など。当院の所属する日本慢性期医療協会では、9区分16行為の特定行為研修を受講することが可能です。

薬剤師の病棟配置について

これまでの薬剤師といえば、調剤室で調剤をするイメージでしたが、現在では患者さんの検査データや実際の状態から体の中で何が起きているかを読み取り、必要な薬、不必要な薬を医師とともに考える役割が求められてきています。当院の薬剤部では、今の時代に求められる役割を果たせるよう、薬剤師を病棟に配置し、チーム医療の一員として治療に関わっています。

薬剤師がチーム医療に参加することで、患者さんの薬の効果や副作用をすぐに確認することが可能になります。また、以下のような多職種との連携をよりスムーズに実施することにつながります。

病棟薬剤師による多職種との連携

  • 患者さんへの服薬指導
  • 医師への処方提案
  • 看護師との協働
  • 管理栄養士との栄養計画
  • リハビリスタッフとの連携

薬剤師の病棟での主な業務

  • 患者さんやご家族の方への説明・服薬指導
  • 患者さんの持参薬の確認
  • 回診・カンファレンスへの参加
  • ポリファーマシーに対する対策
  • 処方内容(投与量・投与方法・相互作用)のチェック
  • 患者さんの検査結果・状態の確認と処方提案
  • 医薬品情報の収集と他スタッフへの共有
  • 病棟における医薬品の管理
  • 点滴・注射の無菌調整
  • TDMモニタリング

これからの慢性期医療を支え、より質が高く安全な薬物治療を患者さんへ提供できるよう、各病棟で担当薬剤師が活躍しています。

管理栄養士の病棟配置について

当院では、回復期リハビリテーション病棟に2名、地域包括ケア病棟に1名、管理栄養士が常駐しています。病棟に常駐することで、患者さんの栄養問題に対し、迅速な対応が可能となります。入院中のリハビリテーションに合わせた機能改善のための栄養管理から、退院後の生活も見据えた栄養管理まで患者様のステージに合わせて調整しております。また、退院後も不安なく継続できる食事プランを提案させていただきます。

  • 合同評価、カンファレンスに参加し、入院時からの多職種連携
  • 病態や好み、リハビリでの活動量に合わせた細かい栄養管理
  • 退院後の続けられる食事プランの提案、嚥下調整食の作り方の指導など

歯科衛生士の病棟配置について

当院では歯科衛生士を病棟に配属しています。

人が人らしく生きていくうえで欠かすことができない「食べる、話す、呼吸する」など、体の入口として多くの役割を担う、歯・口腔(こうくう)の健康は重要です。歯・口腔の疾患は全身のさまざまな疾患に関与するため、口腔内を清潔に保つことは肺炎の予防などにもつながります。

一番大事なことは、「おいしく楽しく食事をする」という当たり前のことができるよう、サポートすることです。
患者さんの健康回復やQOLの確保には、口から食べる機能を取り戻し、歯科衛生士による口腔ケアがますます重要と考え、病棟での活動を推進しています。

歯科衛生士の病棟での主な業務

毎日の口腔ケア
  • 歯間清掃、粘膜清掃、舌苔除去、義歯清掃を含めた専門的口腔ケアを行います
「虫歯」や「歯周疾患」の早期発見
  • 入院時に口腔のアセスメントを実施し、必要であれば歯科往診へつなげ、口腔ケアと評価を継続します
口腔ケア指導
  • 自立に向けての歯ブラシ指導、義歯管理指導を行います
  • 介助が必要な患者さんのご家族に、退院に向けての指導を行います
多職種との連携
  • 動揺歯などの周知事項の発信をして患者さんの安全の確保に努めます
  • 安全にケアができるように多職種とコミュニケーションをはかり、ADL(日常生活動作)や全身状態を把握してから介入を実施します

お問い合わせ先

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